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1.はじめに |
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2) それでは改めてめまいとは
人間には日常生活の中で無意識のうちにその場、その瞬間で絶えずその状況にふさわしい適切な姿勢を保つ(平衡機能)システムが働いています。このシステムのどこかで破綻を起こしますと人間は正しい姿勢保持ができなくなります。このような状態になりますと人間はめまいを自覚、訴えるのです。
(1) めまいの性状
めまい、めまいと言いますがひとことにめまいと申しましても患者さんの訴えるめまいの内容は多様です。そこでめまいの内容を整理しておいた方がよいかと考えます。
一般には患者さんがめまいとして表現する内容には大きく分類しますと3つに分けられます。
回転性めまい: |
自己回転感(自分が回る)、外界回転感(周囲が回る)で立っていられなくなる |
浮動感、動揺感: |
フアフアして浮いた感じ、ふらつく感じ |
眼前暗黒感: |
急に起立した時などで目の前が真っ暗になったり真っ白になり何も見えなくなり意識がぼやける |
上記のような状況を患者さんは種々の言葉をもって表現、訴えます。
(2) めまいの性状、訴え方から推測される病態
人間の平衡覚を司るシステムについて先述しましたがめまいという症状はこのシステムのいずれかの部位の破綻が生じ患者さんは回転感、浮動感・動揺感、眼前暗黒感等の色々なめまいを訴えます。
このような患者さんの訴えるめまいの性状を詳しく知る(問診といいます)ことによって医師は次ぎのような疾患・病態を考えます。
回転性めまいは末梢前庭系(内耳・前庭器)に続く中枢前庭系(脳幹、小脳という部位)に何等かの急性の片側性の障害が生じていることを示しています。
非回転性めまいである浮動感・動揺感は上述の末梢・中枢前庭系に慢性の片側性あるいは両側性の障害で生じますがこれらの前庭系と関係の無い自律神経失調症、神経症・うつ病等でもみられます。眼前暗黒感は脳循環障害等の中枢性障害や自律神経失調症や起立性低血圧等の非前庭系障害でもみられます。
それでは回転性めまいや非回転性めまいを訴える疾患にはどのような病気があるのでしょうか。
回転性めまいを訴える疾患
(A) 末梢性疾患: |
メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、突発性難聴、耳性帯状疱疹、遅発性内リンパ水腫、外リンパ瘻、内耳梅毒、内耳振盪症 |
(B) 中枢性疾患: |
椎骨脳低動脈循環不全、Wallenberg症候群、小脳出血、小脳・脳幹梗塞等の脳血管障害、多発性硬化症 |
非回転性めまいを訴える疾患
(A) 末梢性疾患: |
聴神経腫瘍、ストレプトマイシン中毒 |
(B) 中枢性疾患: |
脳腫瘍、頭部外傷後遺症、脊髄小脳変性症 |
(C) 自律神経失調症、神経症、更年期障害、うつ病 |
回転性、非回転性めまいを訴える疾患を障害部位別に主な疾患を挙げてみましたがこれらの疾患が実際の診療現場でどのくらいの頻度でみられるかを示したいと思います。
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