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応急処置について

耳鼻咽喉科の救急疾患
 
  3鼻出血の治療
   
   患者さん自身が歩行可能で受診される場合と救急車で搬入される場合とがあります。いずれにしても患者さんの全身状態、即ち血圧、意識状態等を確認して、時には補液、輸血の必要性も考慮します。
 危険な状態でなければ診療椅子に座ってもらい出血の状態を確認しながら、心配ないことを話しながら以下のことを質問していきます。
     
  (1)  いつから、どちらの鼻から、そして最初、鼻出血は鼻から出たか、のどの方に落ちたか
     
  (2)  どのくらい出血がつづいているか、その出血量を推定するために、可能なら使ったティッシュペーパーや血液のついたタオルを持参していただけると参考になります。
     
  (3)  これまでかかった病気または現在治療中の疾患の有無。できれば今現在、内服している薬剤をお持ちいただければ大変助かります。
 特に降圧剤を内服しておられる方は何時に最後の薬を内服したかも判れば大変参考になります。
 このようなことを質問しながら出血部位を捜します。大半は前鼻孔から少し入った鼻中隔<ビチュウカク>先端のキーゼルバッハ部位からの出血なのです。そこからの出血が確認されるとその部位に硝酸銀液を塗布するか血管収縮剤をしみこませた綿球かガーゼ、吸湿性スポンジを入れて止血を図ります。それでも出血する時は電気凝固を行って軟膏ガーゼを鼻腔内に詰めて止血させます。
 鼻腔の深部からの出血は止血困難な場合があり、このような出血の時は鼻腔の深部にベロックタンポンというガーゼパッキングを行うか、止血用バルーンを膨らませて鼻からのどへ血液が落下するのを防ぎます。
 尚、このベロックタンポンを行うと食べ物の飲み込みが難しくなるために入院となります。以上のような止血操作を行っても止血困難な例が時にあり、そのような患者さんには手術的に血管結紮<ケッカンケッサツ>を行います。
 更に出血が続くようであれば、動脈造影<ドウミャクゾウエイ>を行い、出血部位とその領域の動脈を同定してその血管に塞栓術<ソクセンジュツ>を行うこともあります。



 鼻出血について話をしてきましたが出血を止めればそれですべて良しではありません。むしろ出発です。
 何故出血したのか、鼻腔、副鼻腔に出血するような腫瘍はないか、更に、何か隠れた基礎疾患がないか等を検索するために血液検査、画像検査や全身的な検査を行います。通常、鼻腔につめたガーゼ、タンポン等がとれて完全に止血するまでは1週間位でしょう。

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